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13R 他団体

「え? え?」
 その脇で中谷さんが
「わぁ、引き抜きだぁ」
 と他人事のように楽しそうに私と長谷川さんの顔を交互に見比べていた。
「ちょっと美幸」
 沙希さんが間に割って入って長谷川さんを睨みつける。
「あ〜ら、沙希。日本という国は職業選択の自由が保障されてるワケよ。この娘がどこを選ぶかなんて、あくまでこの娘の自由よ」
「その事を言ってるんじゃない! 公衆の面前で未成年に酒とか煙草を勧めるのはやめろって言ってるの! 下手にマスコミに嗅ぎつかれたらこの娘の選手生命が抹殺されちゃうんだから!」
「……あ、まだハタチになってなかったワケ……?」
 そこに中谷さんが
「はいは〜い! 私はハタチで〜す!」
 と言うが無視された。

 二人の言い合いを聞いていると、沙希さんと長谷川さんの間には、親密な関係どころか、浅からぬ因縁がありそうに感じた。
「大体あんた、NJWPのきつい練習から逃げ出したんでしょ! それで当時弱小団体だったジャパンレディースに行けば、NJWPの道場を一日でも経験してたら誰だってトップになれるよ!」
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