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12R バトル・ロイヤル「それでも今のままでもスピードから何から何まで、沙希ちゃんの上を行ってるわよ」と続ける。 「あ〜! 森さん酷いですよ! 確かに私は森さんに比べたらスープレックスは上手い方ではないですけど、はっきりと言われたら私だって傷つきますよ!」 沙希さんが泣きそうな顔で森山さんに訴える。社長に対しては気安く平気で話す沙希さんだが、森山さんに対してはめちゃくちゃ腰が低いのだ。森山さんはいくら先輩とはいえ、会社的に見たら一介のレスラー。それに対して沙希さんは取締役であり現場監督なのだから、そこから考えるとあまりに低姿勢過ぎる。一時は何か弱みを握られているのかと思っていたけど、沙希さんがレスラーを志す切っ掛けとなったのが社長ではなく森山さんの勇姿だと最近知った。 「それにしても、いくら上手く受身を取ったとはいっても、もの凄い角度で凄い高さから落ちたからねぇ。中谷がおバカになってしまわないかな?」 「大丈夫ですよ、社長。中谷ちゃんの頭は今以上悪くはなりません」 ……ただ失神しているだけではあるけど、少しは心配してあげてもバチは当たらないような気がするんだけど……。 |
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