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12R バトル・ロイヤル

 歳の瀬も押し迫ったこの時期、あれよあれよといううちに晶ちゃんの初試合が決まった。沙希さん曰く、正式なデビューではなくプレデビューだという事らしいが、そういう事があるだけでも社長が晶ちゃんを一押ししている事がよくわかる。
「いやね、ただの員数あわせよ。年末最後の興行でバトル・ロイヤルをするんだけど、それの、ね」
「え? バトル……ロワイアル……? 映画でありましたよね……?」
 いま思えば、我ながら大ボケ。
「ちがうって。ロ“ワ”イ“ア”ルじゃなくてロイ“ヤ”ル」
「……それってなんですか?」
「一度にたくさんの選手がリングに上がって、最後に残ったのが優勝」
「あ、じゃあ映画と同じだ。マネしましたね?」
 映画では戦場はリングではなく一つの島だったけど、ルール的には同じような気がする。
 沙希さんは私の顔をじっと見た。
「愛ちゃん、バトル・ロワイアルって、映画でしか見てないの? 原作の小説は?」
「あ、読んでませんけど……?」
「小説読めば解るけど、プロレスのことについて触れてる一説があるよ。プロレスが本家、あっちがパクリ」
 そうだったのか……。でも、バトル・ロワイアルを知っててもバトル・ロイヤルは知らない人のほうが今の若い人には多いような気もするけど……。

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