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11R 大技

 聞き返す晶ちゃんに、中谷さんは満面の笑みを浮かべて
「うん。もう倒さない。“投げるだけ”」
 と答える(鬼だ……)。一瞬にして晶ちゃんの顔から血の気が失せた。
「はい、愛ちゃん!」
 中谷さんに促されて、私は渋々晶ちゃんを抱え上げた。晶ちゃんが
や〜ん、おろしてぇ〜!
 と言っていたような気がするが、多分気のせいだろう。そこに中谷さんが手を添えた。
「何も考えないで愛ちゃんに投げろなんて言うわけ無いでしょ。打ちどころ悪いと大変だから私がちゃんとフォローするから」
「はぁ……」
 確かに立場が逆だとしたら、私はフォローなんてどうやったらいいのか解らない。何故私に投げろと言ったのかなんとか納得する事が出来た。

 その時──。

「何やってんの!? 一人を二人がかりで!」
 私と中谷さんが晶ちゃんをいじめていると勘違いしたのだろう、怒鳴り声が聞こえた。


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