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7R 新人戦らし合わせると、この金額は明らかに違法かもしれない。でも、食事などの生活に必要な出費が全く無く、この給料が丸まる全て純利益になると考えたら結構な金額じゃないかな。休みの日もほとんど出不精だし。「愛ちゃん! いくらもらったの?」 中谷さんだ。どこからかぎつけたのか……。 次の日、次期シリーズの要項が発表された。シリーズ名は『ニューホープカップ』。将来のエースを発掘するのが目的というシリーズで、前座組選手による総当りリーグ戦を行う、ということらしい。優勝者と準優勝者は海外武者修行に旅立てる。帰ってきたらもう前座ではない。休憩明けの中堅クラスかそれ以上のポジションが約束されている。 「愛ちゃん、このシリーズが終わったら少しの間お別れだね」 ……既に準優勝以上の成績になるつもりの中谷さん。私は取り合えず頷いておいた。 リーグ戦はピンフォール・ギヴアップ・ノックアウト・リングアウト・反則など、あらゆる勝ちが2点、あらゆる負けは0点、引き分けは1点で行われ、全リーグ戦が終了した時点での得点数一位と二位による優勝決定戦で優勝者を決めるという事だ。リーグが終了したところで得点数で優勝者が決まっても可笑しくは無い(というより、それが普通)なんだけど、なんでわざわざ二位の選手に優勝のチャンスを与えるのか私は少し腑に落ちない部分があったが、シリーズの組み立てとして最終戦で優勝者を決めるという形にした方がいいということらしい。シリーズ途中で優勝者が決まってしまったら、残りの日程をファンに注目させる事が出来ないから、というのが理由だ。最後まで観客を引っ張るという会社としての戦略だ。後で知ったことだけど、男子プロレスでもこういったリーグ戦では同じようなシステムをとっていることが |
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