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6R 前座戦線

「これは沙希さん、晶ちゃんを試してるね」
「試す?」
「彼女がいわゆる普通のギャルなら、ここまで叱られたら辞めるだろうから。チョベリバーって。精神的な根性を見てるんだと思うよ」
「中谷さん、チョベリバーって、今じゃ死語ですよ……」
「うるさ〜い! 私がギャルしてた頃は使われてたんだ〜!」
 中谷さんは少し赤くなっていた。……中谷さんにも恥らう部分があったんだ。
「愛ちゃん! 私がギャルしてたって、愛ちゃんだから言ったんだよ! 他の人には絶対言わないでね!」
 笑いを堪えながら頷く私であった。
 改めて控え室を覗くと、沙希さんの小言は終わったようだった。私たちは安心して室内に入った。……と思ったら
「こら! 中谷ちゃんに愛ちゃん! 付き人が主人をほっぽり出してどこで油売ってんの!?」
 と、いきなり雷を落とされた。
「トイレです! サボってたわけじゃありません! 信じてください! この目を見てください!」
 言いながら、沙希さんに顔を近づける中谷さん。次の瞬間思い切り手加減無しにどつかれた。なんで中谷さんはこうなると解っててこういうことするんだろ……。いや、解ってないのかも……。

 その日中谷さんの試合は、休憩前の第四試合に大抜擢された。相手は水野さん。ちなみに明日は紺
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