| もどる |
3R 入門「ただの膝の屈伸運動と腕立て伏せよ。ブリッジは体を反らせて……あなたが見た試合で私が最後にやった技のように頭と足で体を支えて橋を作るの」言いながら沙希さんは二・三度スクワットの見本を見せてくれた。 私、社長、沙希さん、中谷さんの四人は静まりかえった道場にいた。私は持参したジャージに着替えて社長の前に立った。 「なんで中谷ちゃんまでいるのよ。今日は練習休みの日よ、ぱぁ〜っと遊んでらっしゃいよ」 「まだ私も東京に出て来たばかりだから遊びたくてもどこに何があるか解りませんもん。それに下手にうろついても迷子になるのがオチですし。私を追い出したかったら沙希さんがそれなりのプレイスポットに連れてって下さいよ」 等と言い合う沙希さんと中谷さんを尻目に社長が 「これは他の団体で言うオーディションみたいなものだと思ってくれたらいいわ。誤解されては困るけどこのテストをしたらレスラーになれる訳じゃ無いからね。道場の練習についてこれるかどうかを見るだけだから。そこからのし上がるか、耐え切れなくて逃げるかはあなた次第よ」 と言った。私は緊張した顔で 「はい……！」 と頷いた。 「じゃあインターバル無しでスクワット100回。始めて」 |
前ページ 次ページ |