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3R 入門

「愛ちゃん、ウチの社長よ。元プロレスラーなの」
 と言った。
「何が“元”よ。勝手に引退させないでちょうだい」
 社長が沙希さんの言葉に苦笑いしながら答えた。そして私に視線を移す。
「あ、山神愛です。よろしくお願いします」
 私が挨拶してもただじっと見つめ続ける。しばらくの沈黙の後、ようやく口を開いた。
「ちょっと上を脱いで見せて。下着は取らないでいいから」
「はい?」
「だから脱いでって言ってるのよ」
「え……?」
「いいから脱ぎなさい!」
 目が本気だった。
「は・はい!」
 私は慌てて上着、ブラウスを脱ぎ、ブラだけになった。
 社長が椅子から立ち上がり私に近づいて来る。実際は中谷さんよりちょっと大きいかなって程度でかなり小柄な社長だが、私には実物以上に大きく見えた。社長は何も言わず私の体を正面から後ろからと、まるで嘗めるように見た。そしてこう言った。
「特にスポーツの経験無しって嘘ね」
「ほ・本当です」
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