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2R スカウト

「ただね」
 沙希さんが口を開く。
「ウチに入門する娘なんかは、スカウトしたのを除けば元々プロレスが好きなのばかりなんだけど、ロープに振られたら帰るものという先入観を持ってて、駆け引きも何も考えないで帰ってくる娘が多いのよね。……私も新人の頃はそうだったんだけどさ」
 沙希さんは恥ずかしそうに笑った。

 沙希さんが泊まっているらしいホテルに着いた。沙希さんは手帳を取り出してサラサラと何やら書くとそのページを破って私に渡した。
「これ私の電話番号。一応自宅も書いてるけど、いないことが多いから携帯の方が確実ね。私のスカウトに応じる応じない、だけでなく、どんな用件でもいいから何かあったら電話ちょうだい」
「は・はい……」
 沙希さんは更に財布を取り出し、お札を何枚か差し出した。
「お金で解決って好きじゃないんだけどこういうことしか出来ないから……今日付き合ってくれた御礼と帰りの足代として……」
「そんな、いいですよ」
「恩を着せて何かしようって訳じゃないから気にしないでいいよ。じゃそういう事で。今日は楽しかったよ。お休み」

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