もどる |
2:裁きの草アメリカ、ラスベガスの地下バー。圭介は、地元アメリカ人の友人に誘われてドラッグパーティーに参加していた。 「お・おい、なんだ、この長さは? これ、一人一本か?」 圭介は目の前に置かれたコカインを見て驚きの声を上げる。しかし、友人はさらに驚くべき事をさらりと言ってのけた。 「ケイスケ、なに寝惚けた事を言ってるんだ? 鼻の穴は二つあるだろう? 鼻と口、一人三本だ」 圭介はタラリと冷や汗を流した。 「……お前に譲るよ、俺はこれでじゅうぶんだ」 酒の入ったグラスをかざす圭介。 「ほ・本気で言ってるのか? マジでみんな俺にくれるのか? お前はなんていいやつなんだ!」 アメリカ人特有のオーバーアクションをする友人。 圭介は妖しい匂いの漂うバーでただ一人、酒だけを飲んで、夜が更けて行った。 |
次ページ |