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第五章

「どこに行くんだよ」
 再び電車に揺られながら、ミノルは星来に聞いた。
「私の職場」
「職場ってなんだよ。……あ、そういえばオレも自分の仕事言ってなかったな」
「テレクラでしょ。それもサクラは使っていない、援交目的の女子高生なんかの電話はシャットアウトする、業界では珍しい健全的なテレクラ」
“健全的”という部分をわざと強調するようにいう星来。
「なんだ、知ってたんか。ま、いいか。別に隠すつもりは無いし。それより、お前の職場にオレが顔を出していいのかよ?」
「出してほしいのよ。ノルマがあと一人足りなくてね。給料から三万円罰金になるの。アンタの分の料金、一万円は私が立て替えておくから。それでも差し引き二万の得だしね」
「ノルマって、保険の外交員? いや、料金って事は、水商売か何かか?」
 星来は少し考え込んでから
「……似たようなものね。指名のノルマ達成のために協力してもらうよ」
 と言った。つまり、同伴出勤に付き合えって事か。ミノルはそう解釈した。




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