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第三章

 数日前。定例の飲み会があった。
「みんなでバレンタインパーティーでもしよう!」
 現在彼女なしの一人が言った。しかし、当然のように
「ゴメーン、彼氏と約束してるからぁ」
「彼女がいるから、悪いな」
 と、あっけなくその企画は却下された。そこで彼は星来に鉾先を向けた。
「星来ちゃ〜ん、相手がいない者同士、慰めあおうよ」
「ごめん。私、彼氏が出来たから」
 ミノルは我関せずとビールを飲んでいた。
「えぇ!? いつのまに!?」
 ミノルはビールを飲み続ける。
「ミノルぅ、お前だけは仲間だよな?」
 彼がミノルに哀れな目で訴えてきた。
「悪い。その日は仕事、遅番だ」
 これは本当だ。その時点では。

 次の日、急にシフトの変更があり、その日は早番になった。


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